介護老人保健施設とは、介護老人保健施設をはじめ、特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、有料老人ホーム等多岐にわたり、利用できる対象の方も限定があったり、制度も複雑化しています。その数ある中の施設選びに間違ってしまうとご本人、ご家族とも「こんなはずではなかった」ということにもなりかねません。では、その数ある福祉施設の中で介護老人保健施設とはどのようなことを行う施設なのでしょうか?
介護老人福祉施設とは、入所(入居)する要介護者に対して、施設介護サービス計画に基づいて入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行なう特別養護老人ホーム(通称:特養)を指します。介護保険法に基づいて介護保険が適用される介護サービスであり、心身の障害で在宅生活が困難な高齢者の日常生活を介護する施設です。
※グループホームのような少人数共同住居方式によるユニットケアを採り入れた特別養護老人ホームを「新型特養」と呼びますが、単に利用者の生活単位を少人数化すれば良いというものではなく、個室の必要面積確保や夜間の人員配置など、問題が無い訳ではありません。
原則65歳以上の高齢者を対象にした養護老人ホームのうち、要介護者に対して介護保険サービスを行なう施設が特別養護老人ホームです。特別養護老人ホームで行なう介護サービスを「施設サービス」と呼びますが、平成17年10月以降、利用者から居住費(家賃)や食費が徴収されるようになりましたので、今や介護老人福祉施設は、「施設」ではなく「住居」だと言えます。
介護老人福祉施設の入所期限ですが、施設によっては、1~2年ぐらい入所している方もいますし、色々な介護老人福祉施設を転々と移動している方もいます。入所契約では入所期限はなく無期限ですが、病気や障害が進行や悪化して、心身の状況が生活施設である介護老人福祉施設でケアできる範囲内を超えた場合は、退所し病院への転院になります。
急性期の病気や障害で急遽病院に入院する場合、3ヶ月間は入所権を維持できますが、3ヶ月以内に退院し施設に復帰できない場合は入所権は消失し解約と退所になります。入所権を保有した状態での入院期間は、介護報酬と食費は発生しない(請求されません)が、居住費(居室利用料)は発生する(請求されます)。3か月以内に退院し施設に復帰できずに退所になった場合、病気や障害が介護老人福祉施設で受け入れ可能な状態に回復して、再入所を申請した場合は、他の入所待機者よりも優先的に入所できる運用にしている介護老人福祉施設もあります。
3ヶ月入所して、一度在宅に数ヶ月戻り、再び入所する方。とりあえず、特養が空くまで介護老人福祉施設で待機...など様々な利用者がいます。しかし、介護老人福祉施設はあくまでも特養と違って、終身型ではありません。施設の都合で「出て行ってください」といついわれるのか分からないのです。介護保険制度が開始されて、利用者の選択の自由も歌われていますが、利用希望者が多いために、まだまだ施設側が利用者を選んでいるような印象を受けます。
介護老人保健施設に入所するにあたって、ご家族の負担も気になる点では無いでしょうか。この部分は各介護老人保健施設によって異なる部分が多いようです。通院の際、施設ですべて行う所もあれば、ご家族に送迎を依頼する所もあったり、洗濯を家族で行うこともあったりとまちまちのようです。入所問い合わせの際に確認してみましょう。ケアプランの内容説明や、必要事項の連絡を面会時に行うこともあります。
一般的には原則としてご家族が身元引受人となりますが、身寄りがない、家族が非協力的など処々の事由によって御家族が身元引受人となることが困難な場合も中にはあります。そういった時は成年後見制度などの手続きを経て、施設利用の契約をすることも可能です。
介護老人保健施設は基本的には病院と同じく3ヶ月しか受け入れ出来ません。常駐の医師がいて、看護師の数も多く幅広い対応が可能です。ただし、施設長の考え方次第では、夜勤に看護師が入らないシフトが組まれる場合もあって、その場合は、重篤な利用者の受け入れを拒否する場合もあります。
介護老人保健施設に入所中で他の医療機関に掛かりたい時は支援相談員、施設長の医師に相談されることをお勧めします。医師の紹介状があるとスムースに掛かることができるかと思われます。原則として介護老人保健施設に入所されている方の日常的に必要な診察や投薬などの医療に関しては介護老人福祉施設が担当することになっています。これらの医療に関する費用(医療費)は施設がサービスの対価として受け取る通常の施設サービス費に含まれていることとなっており、保険請求はできないことになっています。以上の理由で一部の例外を除き、入所期間の間は他の医療機関に往診に行ったり、薬をもらうことはできないことになっています。では、一部の例外については、簡単に説明すると介護老人保健施設での治療が提供困難な場合です。例えば、歯科とか眼科、耳鼻科など施設の設備では対応ができないような特殊な治療を行う場合が該当します。これ以外にも幾つかの診療科目で、その診療内容によっては他科受診が認められています。これは社会保険研究所出版の他科受診の手引きにて診療項目が確認ができます。
介護サービス計画書を作成し、それに基づいて運動、マッサージなどの理学療法や計算ドリルや手芸などの作業療法を主として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が行っています。広義では介護老人保健施設ないでの車椅子の駆動や、歩行器、手すりを使っての移動も日常生活内でのリハビリテーションのひとつと言えるでしょう。入居者への介助が今現在どこまで必要なのか、その方が現在有している身体機能がどの程度あり、課題が何なのかを見極めてもらうためにも、介護老人福祉施設としっかり相談しましょう。
介護老人保健施設と、介護老人福祉施設の違いがよくわからないという人も多いようですので、ここで簡単にご説明致します。
しかし、今は両者とも似たような性格になっているようです。サービス内容も、大きな違いもありませんし。強いていえば、老健入所の方のほうが特養にいらっしゃる方よりは、状態は「軽い」方が多いのかも知れません。でも、特養に居ても、自宅に戻れそうな人、老健に居ても、結構重い方も当然いますので、一概には言い切れません。
近年、高齢化が進み、介護老人福祉施設を使う方が増えてきました。とにかく家に高齢者を置いて置けない。でも、すぐに特養は入れない。(順番待ちが凄い)特養に移ると、世間体が悪い。住所も移すことになるので、財産の問題にかかわって来る。(他市に住む子供に引き取られて、見た目的には引っ越した状態でも、住民票を移さない方も多い。)等、それぞれの事情があるようです。
高齢者社会の日本。老後に備えて介護老人福祉施設について学んでおいて損はありませんよ。